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夫婦ペアローン拡大

2024.04.29

夫婦で住宅ローンを借りるペアローンの利用が増えている。価格が高騰する新築マンションが顕著で、首都圏の2023年の利用者は約34%と過去最高を記録。20代では単独で借りる場合に比べて借入額は1.9倍だ。女性の正規雇用が増えていることが背景にある。ただ、高止まりする住宅価格に対応するため家計の負債額は膨らみ、金利上昇リスクも抱える。

夫婦で住宅ローンを借りる代表的な手法のペアローンでは、夫婦が一つずつ計2つのローンを契約する。リクルートによると、23年の新築マンション契約でローンを使った場合、首都圏は約34%、関西圏は約25%がペアローンを利用。いずれも18年に調査を始めて以来、過去最高だ。背景にあるのが新築マンションの価格高騰だ。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、23年度の東京23区の平均価格は1億円を超えた。夫婦2人分の収入を前提に借入額を増やさなければ、容易に手が出せない水準だ。

ミライ研の調査では、一人で借りる単独のローンよりペアローンは借入額が大幅に増える。2人の収入を前提とするため、返済能力がより高いとみられるからだ。特に20代の増加率が目立ち、24年の中央値ではペアローンの借入額は4100万円と単独の約1.9倍に達する。

総務省によると、共働き世帯は23年で約1278万世帯と専業主婦世帯の約2.5倍だ。20~30代女性の場合、正規雇用率も大きく上昇している。一般的に正規雇用なら住宅ローン審査でも有利になり、ペアローンの利用を促す要因になる。リクルートの調査では、既婚・共働きで世帯総年収1000万円未満の場合、ペアローン利用率は全体平均とほぼ同じだが、同1000万円以上は6~7割に跳ね上がる。「所得が高い夫婦ほど都心の高額物件へのこだわりが強く、ペアローンの利用率が高くなる傾向がある」

一方家計が抱える負債は増えている。住宅価格の高騰に加え、以前より少ない頭金で購入する動きが多いためだ。総務省の家計調査によると、住宅土地関連の負債(負債のある2人以上世帯の平均)はここ数年、増加が目立つ。住宅金融支援機構によると、足元では住宅ローン利用者の約74.5%が返済中に金利が変わることがある変動型を選んでいる。

3月に日銀がマイナス金利解除に動き、今後は住宅ローン金利の上昇も考えられるだけに、多額の負債は家計の重荷になる懸念がある。ペアローンにはもう1つ固有のリスクがある。若年女性の正規雇用率が上がる一方、その割合が年齢とともに下がる「L字カーブ」は依然残る。出産などを機に妻の収入が減ったり途絶えたりすると、一気に返済が苦しくなるおそれもある。

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