都内マンション1億円超
2024.04.21

東京都内の新築マンションは価格高騰が続く。不動産経済研究所(東京・新宿)が18日発表した2023年度の平均価格(23区内)は、前年度比5.7%高の1億464万円と年度で初めて1億円を突破した。夫婦で稼ぐ「パワーカップル」など実需がけん引するが、低金利や資産価値の上昇を前提とした「背伸び買い」には危うさも残る。
価格上昇の要因は3つある。まずは「低金利」だ。日銀の金融緩和と銀行の住宅ローン競争により利率が低下。住宅ローンを借りた人向けに実施した調査では、変動型金利を選択したのは74.5%と過去最多を更新した。3年前から10ポイント以上の増加だ。「パワーカップルの増加」も主な要因となる。購入者を対象に実施した調査では、共働き世帯における世帯年収1500万円超の比率は23年時点で37.4%と、過去8年で約2倍に増えた。3つ目は「資産価値の先高観」だ。リクルートの「首都圏新築マンション契約者動向調査」では、住宅購入を思い立った理由に「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」との回答が32%と、01年の調査開始から最高となった。利便性が高い都内のマンションを「安全資産」として購入する層が増えている。
過度な高値は購入者に二の足を踏ませる。デベロッパーは専有面積を狭くするなど価格抑制に躍起だ。不動産経済研究所によると、23年販売の首都圏新築マンションの1戸あたり専有面積は中央値が68.42㎡。4年連続で前年を下回った。環境変化のリスクも残る。マイナス金利政策の解除により、低金利という相場の前提が崩れる可能性が出てきた。住宅価格が年収の何倍かを示す「年収倍率」は業界の目安として世帯年収で6倍程度とされる。この倍率は若年層ほど高く、20代では7倍超でローンを組む例も多い。金利上昇はこうした層を直撃しかねない。