ニュース NEWS

ホームニュースお知らせ住宅金利12年ぶり高水準。翌月以降さらに上昇か!?

住宅金利12年ぶり高水準。翌月以降さらに上昇か!?

2023.11.03

3メガバンクが10月31日には発表した11月適用の住宅ローン金利で、固定型を10月比でそろって引き上げた。10年固定型の基準金利の単純平均は0.12%上昇の3.80%と2011年以来12年ぶりの水準となり、優遇後の金利でも0.12%高い1.29%となった。長期金利の上昇を反映する。短期金利に連動する変動型との差が一段と拡大する。

日銀は10月31日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正を決めた。大手行の固定型ローンの金利は前月の中~下旬の長期金利をもとに決めるのが一般的で、11月のローン金利にYCCの再修正は反映されていない。そのため、固定型ローンの金利は12月以降にさらに上昇するとの見方が強い。住宅ローン金利は全期間固定型、当初10年など一定期間の金利を固定する固定期間選択型、変動型の主に3種類ある。固定型は長期金利、変動型は短期金利に連動する。短期金利に連動する変動型の基準金利は各行とも2.47%で据え置いた。

10年固定の最優遇金利で三菱UFJ銀行は10月比0.10%高い1.04%、三井住友銀行は0.15%高い1.29%、みずほ銀行が0.10%高い1.55%となった。最優遇金利について三井住友信託銀行は0.28%高い1.54%、りそな銀行は0.15%高い1.80%に設定した。

比較可能な3メガバンクの固定金利の優遇前の基準金利の平均は11年7月の3.82%以来の水準となった。三井住友が3.94%、三菱UFJが3.82%、みずほが3.65%だった。0.10~0.15%の引き上げとなる。基準金利は三井住友信託銀行、りそな銀行も12年ぶりの水準となった。

固定型の住宅ローン金利は長期金利の水準にあわせて決める。日銀は31日に長期金利の事実上の上限だった1%を「めど」とし、一定程度超えることを容認する長短金利操作の再修正を決めた。長期金利は0.9%台と10年ぶりの高さとなっており、固定型ローンの金利は12月以降にさらに上昇する公算が大きい。

日銀は短期金利に影響するマイナス金利政策を維持しており、変動型住宅ローンの店頭金利は当面大きく上がる見通しは少ない。3メガバンクの固定型の住宅ローン金利は4カ月連続の引き上げとなり、累計の引き上げ幅は0.4%強に達した。変動型と固定型の最優遇金利を比較するとそれぞれ0.4%、1.3%程度で3倍超の差となる。

金融機関にとって住宅ローンは35年など長期にわたって取引が見込める魅力的な商品だ。インターネット銀行などで変動型ローンの金利を優遇する動きも広がる。SBI新生銀行は11月から1億円以上を借り入れる一部の顧客を対象に0.19%の金利を提示する。auじぶん銀行がKDDIグループのサービスを利用すると適用金利を最大0.15%引き下げるプランを導入するなど競争を激化させている。

三井住友信託銀行は10月に変動型の最優遇金利を6年ぶりに下げ、0.405%と9月に比べ0.07%低い水準とした。りそな銀行も10月、変動金利の最優遇金利を前の月より0.03%低い0.34%に設定した。大手銀行では特定の販路経由の住宅ローンで、競争上店頭の最優遇金利よりも低い金利を提示する例もあるという。

住宅ローンをめぐり米国では9割が長期固定型を選択するとされる。国内では住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者が変動型を選ぶ割合は12年前の約5割から約7割に上昇した。今のところ金利が上昇しているのは固定型のみのため、住宅ローン利用者のうち影響を受けるのは、約3割にとどまる計算だ。

ただ、将来的に日銀がマイナス金利政策の解除に動けば、変動型の金利も影響を受ける公算が大きい。マンション価格は高騰が続き、共働き世帯を中心に変動型で高額のローンを組む動きが広がっており、一部の家計にとってリスク要因になる可能性がある。

フォームでのお問い合わせ

page top