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引渡し前の転売禁止

2025.11.22

不動産大手の業界団体、不動産協会(東京・千代田)はマンションの投機的な取引を防ぐため、引渡し前の転売禁止を柱とする対応方針をまとめた。転売行為が発覚した場合、契約解除や手付金没収に踏み切る。都心のマンション価格高騰は投資家や外国人による短期転売が一因との批判が出る。業界を挙げた対策で抑制につなげる。

協会は主要な加盟社に通知済みで、近く公表する。強制力はなく、加盟社は物件の立地などに応じて実施するかどうかを判断する。方針では、今後発売する物件を中心に、購入希望者との契約段階で転売行為を違反とみなすことを説明する案を盛り込んだ。契約から鍵を受け取るまでの間に、第三者への転売を目的とした売買や仲介の依頼に関わる契約、物件情報の提供などができないようにする。購入者とは合意の上で売買契約を交わす。その後に違反行為が発覚した場合、違反金として引き渡し前に支払う手付金を没収するとともに契約を解除することを重要事項説明書などで知らせる。

背景にあるのが、マンション価格の高騰に対する需要層の不満だ。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、東京23区の新築マンション平均価格は4~9月で1億3309万円と前年同期に比べ20.4%伸びた。首都圏でも9489万円と大台の1億円に迫る。用地不足で供給数が減る一方で旺盛な需要は続く。人件費や建材費のコスト上昇も価格上昇に拍車をかける。購入希望者の一部は手が届かず、中古マンションや狭小住宅などへ流れている。

三菱UFJ信託銀行によると、24年に東京23区で売却された分譲マンションのうち、築7年以内の物件は6.3%だった。同行がマンションデベロッパー25社に調査したところ、7月末時点の外国人取得者の割合は千代田区、港区、渋谷区で平均19%だった。不動産情報サイト「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインド(東京・港)のデータによると、今年1~10月に東京都内で売り出された築1年以内の中古マンションは1355件と10年前より2.4倍に増えた。26年の竣工前に売却された物件もあった。不動産業界は購入者の多くはセカンドハウスを含む需要層が中心で、転売の割合は少ないとみている。ただ、東京都千代田区は投機目的とみられる取引がマンション価格高騰の一因とみて、7月に不動産協会に転売の制限を要請した。市街地再開発などで販売する物件について、引渡しから5年間は転売できないとする特約の導入などを協会に求めていた。

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