マンション建築費最高続く!
2025.09.15

マンション建築費の高騰が続いている。民間調査によると、東京の工事原価は8月に前年から5%上がり過去最高を更新した。主要な部材である鉄鋼製品が値下がりしているにもかかわらず、建築費高に歯止めがかからない。主因は専門作業を担う職人の人件費上昇だ。「人手不足インフレ」が住宅価格を直撃している。
建設物価調査会(東京・中央)が10日発表した8月の建築費指数(速報値、2015年=100)によると、鉄筋コンクリート(RC)造マンションの東京地区の指数は139.2と前月から0.1%上がった。上昇は9カ月連続で、前年同月比の上昇率は5.1%に上る。「8月は軽油高で資材の運送費が値上がりしたほか、クレーン操縦者の人件費が上がったことが影響した」(調査担当者)という。同調査会は鋼材やコンクリートをはじめとする建設資材のほか、それらを組み立てる作業員の人件費なども含め項目ごとにコストをはじき、合計の工事原価を指数化して毎月公表している。マンションのほかオフィスビルや工場なども対象で、いずれの指数も最高値圏での高止まりが続く。
主要な建設資材である鋼材は足元で値下がり傾向が顕著だ。RC造マンションに使う鉄筋(異形棒鋼)の価格は1トン10万6500円前後で、1年前から10%下がった。鉄骨造のオフィスビルや工場などに使うH形鋼も同5%安だ。現場の人手不足で建設工場が滞っており、需要が弱いため鉄鋼メーカーや流通事業者が値引きを迫られている。新型コロナウイルス禍後の経済再開やロシアのウクライナ侵略に端を発する資材インフレは峠を越えたとの見方が多い。それでも建設費が下がらない背景には、専門作業を担う職人の人件費上昇がある。労務費の指標となる公共工事設計労務単価をみると、2025年3月は全国全職種平均で2万4852円と前年から6%上がった。上昇率は14年3月以来の大きさだ。マンションの建築などでコンクリートを流し込むための合板を組み立てる「型枠工」の労務費は全国平均で3万214円と国土交通省が定める主要12職種のなかで最も高い。高い技術が求められる作業で、人手不足が深刻化している。