【東京23区】マンション1億円超え
2023.10.22
新築マンション価格の上昇が続いている。不動産経済研究所が18日発表した2023年4~9月の東京23区の平均価格は前年同期より36.1%高い1億572万円となり、4~9月としてはデータを遡れる1990年度以降で初めて1億円を突破した。投資家や高所得者の需要は堅調な一方、価格上昇で一般消費者の需要減が懸念される。
9月の不動産売買の仲介収入で、企業や投資家が投資目的で購入する「事業・投資用」が前年同期比で約2割増加した。総資産が数十億円にもなる企業が経営者や創業者といった「スーパー富裕層」が好立地のマンションをこぞって買うという。東京都区内のマンション価格上昇のけん引役の一つが、マンション投資家だ。「都心の一等地では数年前に買った物件の資産価格が2~3倍になっているケースもある」(不動産関係者)価格上昇が続くなか投資家がマンションで得た収益をまた別のマンションに投資する循環が生まれている。
海外富裕層も日本への投資を増やしている。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると1~6月の海外投資家による日本の不動産の購入額は、前年同期に比べ1.4倍の5130億円まで膨らんだ。このうち賃貸マンションは1割強を占めた。こうした投資家需要に加え、資材や人件費高騰などに伴う建設コストの上昇で都内のマンション価格は下がる気配がない。
不動産経済研究所によると、都内以外でも新築マンション価格は上昇している。4~9月の平均価格は首都圏で前年同期より23.7%高い7,836万円、近畿圏は同2.8%高い4,696万円だった。「価格上昇が続けば、地方を中心に消費者心理が冷え込む可能性もある」(不動産経済研究所)との指摘も出ている。