【地価東京】路線価8.1%上昇、全国平均3倍!
2025.07.20

東京の地価が「一人勝ち」の状態になっている。国税庁が1日発表した2025年の路線価1月1日時点で、東京都の標準宅地の平均上昇率は全国最高の8.1%だった。全国平均の2.7%に比べて3倍の伸びとなった。地方や海外から人口が流入し、マンションの需要拡大が続く。海外からの投資マネーも価格上昇に拍車をかけている。路線価は主要道路に面した土地1平方メートルあたりの標準価格で、相続税や贈与税の算定基準になる。東京都の平均上昇率は前年から2.8ポイント拡大した。上昇は4年連続で、比較可能な10年以降では上昇率は最大となった。マンションの値上がりが主な要因だ。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、24年度の東京23区の新築マンション平均価格は前年度よりも11%高い1億1632万円だった。開発用地が不足して発売戸数が減る一方、人口が増えて住宅需要は拡大しており、需給が引き締まっている。
外国人による購入も東京のマンション相場を押し上げた。三菱UFJ信託銀行が25年1月に実施した不動産開発会社向けのアンケートでは、千代田区・港区・渋谷区の新築マンション購入者に占める外国人の割合は2~4割との回答が多かった。24年7月時点では1~3割が多く、割合は上がっている。船窪芳和上級調査役は「東京は国際的な知名度が高いうえ、新築物件が香港やニューヨークといった海外主要都市に比べて割安感がある」ことが人気の理由だと分析する。都心物件の値上がりに日本人の購買力が追いつかず、富裕層の外国人が目立ってきている。
25年の路線価では、23区周辺部の拠点駅の伸びが目立った。足立区の北千住駅前の上昇率は26%、中野駅前は24.7%だった。都心部の不動産価格が高騰し、相対的に割安感のある周辺地域の人気が高まった。今後は東京と地方との不動産価格の差が一段と広がりそうだ。理由の一つに、物価高や人手不足による建築コストの上昇がある。もう一つが人口の東京一極集中だ。国立社会保障・人口問題研究所が23年に公表した人口の中位推計によると、50年時点の人口が20年よりも多いのは東京都のみ。住宅需要が衰えず、値崩れしにくいとみて、東京の人気が一段と高まる可能性がある。東京では地価上昇による弊害が深刻だ。家賃の上昇は顕著で、不動産情報サービスのアットホーム(東京・大田)によると、23区の単身者向けマンションの平均募集賃料は5月に初めて10万円を超えた。学生や若者には負担が重い。東京圏に人口や企業が集中すれば大規模災害時の損害が膨らみやすくなる可能性もある。