不動産投資「クラウドファンディングサービス」
2025.03.08

物価上昇で預貯金の価値が目減りするなか、余剰資金を運用に回せないか。こう考える若い人が不動産への投資に目を向けている。小口資金での投資に一役買っているのが不動産クラウドファンディングサービスだ。「NISA(小額投資非課税制度)以外もやってみたい。お金をためるだけではもったいない。」こう話す20代の女性が参加していたのは不動産クラファンサービス「COZUCHI(コヅチ)」を展開するLAETOLI(ラトリエ、東京・港)が開いた座談会だ。
コヅチの仕組みはこうだ。開発予定の商業ビルや、老朽化した物件の想定利回りを提示して参加者からの投資を募る。その資金をもとに開発、改修して得られる賃料や売却益を還元する。利用者は最も少額の場合、1万円から投資できる。想定利回りを上回ることもあり、2月末時点の平均利回りは実績値で15.5%。これまでに元本割れしたファンドはないという。若年層ほど不動産投資に興味を示す人が多いとのデータもある。インヴァランス(東京・渋谷)が資産形成に興味があり、まだ不動産投資をしていない人に聞いたところ20代で不動産投資に「良い印象」「やや良い印象」を持つのは計46.8%だった。他の世代は10~30%台だった。
住宅ローンを組みながら、物件の購入・売却を繰り返す若い人もいる。賃貸だと「貸主のローン返済額に利益をのせた金額が家賃になる」ため、住宅ローンをうまく使って家を買わないともったいないと話す。1件目を購入する際は勤務年数が浅く、住宅ローンの審査がなかなか通らなかった。「今では最長50年までの商品も出ており、若者への銀行の姿勢の変化を感じる」
日本は低金利の時代が長く続いたが日銀の利上げにより返済負担も膨らみやすくなってきている。投資用マンション2室を持つ20代女性は不動産を巡り「レバレッジをかけて投資できることに魅力を感じるが金利が上がると苦しい」と漏らす。家計調査によると、世帯主が29歳以下で2人以上の1世帯あたりの負債は23年に992万円と、02年の249万円から大きく増えた。金利負担をにらみつつ、インフレに負けない資産運用にどう取り組むか。リスクを意識しながら挑む若者世代がけん引役になるかもしれない。