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集成材原料、欧州産3.5%高

2025.02.23

木造住宅の梁(はり)や柱に使う集成材の原料、ラミナ(引き板)が3四半期ぶりに値上がりした。主流品である欧州産の1~3月期の対日価格は2024年10~12月期に比べ3.5%上がった。コスト高などを理由に値上げを求める欧州の製材会社の要求に、日本側が応じた。国内の集成材メーカーの生産コストが増えることになる。

ラミナは無垢(むく)の薄板。日本ではフィンランド産やスウェーデン産などのラミナを貼り合わせて集成材を作る。強度が高く無垢の木材よりも品質が安定していることから、住宅の梁や柱によく使われる。欧州産のラミナで主力となる梁向けは、現地の木材会社と日本の製材会社の交渉が1立方メートル当たり292.5~302.5ユーロで決着した。中心値は10~12月期比で10ユーロ上がった。値上がりは3四半期ぶりだ。

日本と取引する欧州の製材会社などは24年後半、円安や日本内での需要不振に理解を示し値下げすることを受け入れた。ただ採算は悪化していたことから値上げ姿勢を強め、今四半期は日本側が受け入れた。日本向けを手掛ける北欧の製材会社ではラミナを作るための原料丸太の調達価格や人件費、電気代といった生産コストが上昇しているとみられる。スウェーデンの製材会社は、上昇の一因に原料である丸太価格の高止まりを挙げる。樹木を腐らせる虫の被害が拡大したことが背景にある。現在は虫害は落ち着いているが、森の資源量を増やす目的で伐採できる量は制限されているという。

もうひとつは丸太を必要とするパルプ向けの需要拡大だ。「北欧では環境への配慮を背景に、プラスチック製品を減らし紙製品を増やす動きが盛ん。丸太の供給が絞られるなかパルプ向けの需要が高まり全体の価格を底上げしている」と担当者は説明する。さらにウクライナ情勢の悪化以降、電気代も高騰。人件費も上がったことから、値上げに動かざるを得ない切実な事情がある。ラミナの対日価格の上昇は集成材を作る製材会社のコストを増やす。ただ集成材を使う住宅は新設着工が低迷しており、問屋などの荷動きは鈍い。国内の製材会社がコスト上昇分を流通価格に転嫁できるかは見通しにくい。

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