前年の2倍!REIT資産売却額最多
2025.02.22

不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、東京・千代田)によると、上場不動産投資信託(REIT)の2024年の資産売却額は7625億円となり、05年の集計開始以降で最多となった。不動産価格の上昇で膨らんだ含み益を自己投資口買い(株式の自社株買いに相当)や分配金に生かす流れが強まっている。
24年の売却額は前年比4006億円多く、2.1倍の規模となった。これまでの最多である21年の4874億円を大幅に上回った。24年の主な用途別では、オフィスが3688億円増の5088億円、商業施設がほぼ横ばいの632億円、物流施設は590億円増の919億円、住宅が79億円増の465億円、ホテルが414億円増の432億円だった。不動産投資市場では海外投資家が空室率と賃料それぞれで改善傾向を示すオフィスの取得を活発にしており、上場REITが売り手側に回っている。
三井住友トラスト基礎研究所によると、上場REITの保有物件の含み益は直近24年11月期時点で5兆9173億円となっている。不動産価格の上昇に伴ってこの1年で4000億円あまり増え、過去最高水準にある。上場REITにとって売却益を得やすい環境が続く。24年の上場REITの資産取得額は1兆2159億円だった。取得額から売却額を引いた「純投資額」は4534億円となり、12年(4482億円)以来、12年ぶりの低水準となった。当時は08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災の後でREIT市場が停滞していた。13年4月の異次元の金融緩和策導入により低金利環境となったことで、その後REIT市場は拡大期に入った。三井トラスト基礎研究所の中野邦彦REIT投資顧問部長は「含み益の拡大をうまく活用できている」と評価。その上で、「市場評価の向上には物件売却だけでなく、中長期でポートフォリオの質を引き上げる物件への入れ替えが欠かせない」と指摘する。