2025年首都圏、割安の「定借物件」人気
2025.01.18
不動産経済研究所は、2025年の首都圏の新築マンション供給戸数が前年比13%増の2万6000戸程度になるとの予測を発表した。4年ぶりの供給増だが、需要逼迫が解消される見込みは小さい。都心で「億ション」が常態化するなか、土地を所有しない代わりに相場より割安な定期借地権付きの物件が増えている。
大型物件が販売されるなどの要因で25年は供給数が増える。もっとも足元は物件が少ない。24年の供給戸数は前年比14.4%減の2万3000戸の見込み。1973年の調査開始以来最低の水準だ。需給が逼迫するなか、24年1月~11月の東京23区の販売価格は1億1285万円と、23年通年に続き1億円を超えた。25年も都心での供給が多く価格は高止まりしそうだ。23区に建つ新築マンションの平均価格は過去5年で約6割上昇している。それでも需要が衰える気配はない。戸数が限られ、価格も上がるなか「定借マンション」に注目が集まっている。借地期間の満了時に更地にして土地を返却する必要があるが、物件価格が相場よりも2~3割安く抑えられる。不動産経済研究所の松田忠司・上席主任研究員は「地価上昇を受けて事業者が土地を手放さず、定借マンションが増えている」と話す。25年は定借マンションの供給が2000戸を超える可能性があるという。定借マンションは価格が割安になる一方、売却で苦戦する例が多い。東京カンテイは23年のリポートで「中古市場で残りの借地期間が意識されて価格設定される」とし、築年数の経過につれ周辺相場を下回るケースが増えると指摘している。それでも持ち家を求めるニーズは強い。