集成材原料、欧州産3.4%安
2024.11.29
木造住宅の梁(はり)や柱に使う集成材の原料、ラミナ(引き板)の値下がりが加速してきた。主流品である欧州産の10~12月期の対日価格は7~9月期に比べ3.4%安い。現地勢はコスト高などを理由に値上げを求めたが、日本の住宅需要の低迷で日本側は応じず、値下げで決着した。国内の集成材の価格の下げ圧力となる。
ラミナは無垢(むく)の薄板。日本ではフィンランド産やスウェーデン産などのラミナを貼り合わせて集成材を作る。強度が高く、住宅の梁や柱に使われる。欧州産のラミナで主力となる梁向けは、現地の木材会社と日本の製材会社の交渉が1立方メートル当たり282.5~292.5ユーロで決着した。中心値は7~9月期比で10ユーロ安い。値下がりは2四半期連続で、下落率は7~9月期(2.5%安)から拡大した。フィンランドなどの製材会社ではラミナをつくるための丸太の価格や人件費、電気代などが上昇している半面、欧州は不動産ローン金利の上昇やドイツの景気停滞などが重なり住宅向けの木材消費は不振だ。このため、生産を制御して供給を絞ることで価格を維持しようとしている。欧州勢は供給調整を背景に日本向けにコスト転嫁の値上げ姿勢を強めたが、日本側は国内の住宅市場の不振と円安によるコスト高を理由に反発した。むしろ「注文量を減らし、7~9月期より1立方メートル20ユーロ値下げすることを要求した」(ラミナを仕入れる製材会社)欧州側は、日本市場の事情を踏まえて値上げを断念し、日本側の要求の半分にあたる10ユーロの値下げをのんだとみられる。欧州と日本による今回の10~12月期分の交渉は難航し、決着は11月までずれこんだ。国内では日本産のラミナ価格が輸入品を1~2割下回る取引例も増えているという。欧州産のシェアが依然大きいが、新型コロナウイルス禍以降は国内の集成材メーカーなどが国産品を調達する傾向が強い。ラミナ相場は当面、輸入品や国産品ともに弱含みとみられる。