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【10月~12月2%高】北米産木材再び上昇

2024.10.31

ツーバイフォー(2×4)住宅の壁などに使う北米産木材の10月~12月期の対日価格が7月
9月期に比べ2%高に決まった。上昇は2四半期ぶり。現地企業が供給を絞り、コスト転嫁の値上げ姿勢を強めた。日本にとっては木造住宅の需要が振るわない状況での資材費の上昇となり、住宅価格が押し上げられれば住宅需要の回復がさらに遅れる恐れがある。

ツーバイフォー住宅の壁などに使うカナダ産SPF(トウヒ・マツ・モミ類)は、売り手であるカナダの製材会社と買い手の日本の商社などが四半期ごとに価格交渉する。10月~12月期の日本向け規格(Jグレード)価格は1千ボードメジャー(BM=2.36立方メートル)あたり605~615ドル前後(海上運賃込み)と7~9月期に比べ10ドル(2%)高い。値上がりは4~6月期以来だ。現地の製材会社が値上げ姿勢を強め、日本の商社が受け入れた。商社の担当者によると、現地の製材品の流通が減っているという。現地ではインフレにより木材の原料になる丸太の価格や生産コストが軒並み上昇している一方で、製材品の需要は盛り上がっていない。米連邦準備理事会(FRB)は9月、米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを決めたが、住宅ローン金利の低下というかたちで本格的に反映されるのはこれからとみられ、今回の対日価格を交渉する段階では住宅需要を強く刺激していなかったという。木材需要が盛り上がらないなか、現地生産者では出材を減らして供給を絞ることで価格を支える動きがある。

2025年1~3月期もカナダ側のサプライヤーは値上げを求めるとみられる。冬期は降雪などで住宅建設の動きが鈍るが、春以降に利下げ効果とともに住宅需要の回復が見られれば木材価格が引き締まるという思惑があるからだ。日本では住宅に使う木材の需要は冷え込んでいる。国土交通省がまとめた8月の木造住宅の新設着工戸数は4万戸を下回った。新型コロナウイルス下の在宅勤務の増加を背景に一時盛り上がった住宅需要が落ち着いてから、着工戸数は低い水準が続いている。製材価格の値上がりは住宅価格を押し上げる一因になる。住宅市場が浮揚のきっかけをつかめていないなか、資材高が続けばさらに需要が低迷する恐れもある。住宅市場の弱さを背景に、住宅の壁や屋根などに使う国産針葉樹合板の流通価格は10月に入り7ヵ月ぶりに下落した。コスト高と需要低迷の間で住宅用木材の市況の方向感が複雑になっている。

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