フラット35借り換え優遇
2024.10.19
国土交通省は省エネ住宅の普及を進めるため、住宅ローン借り換え用のフラット35にも金利優遇を設ける方針だ。省エネ住宅向け優遇は今まで新規借り入れに限定されていた。2025年度の概算要求に盛り込み、財政当局と協議を始めた。住宅金融支援機構が提供する固定金利型の「フラット35S」で優遇金利を設ける考えだ。25年度の早い時期に借り換えをしても適用できるように詳細を詰める。フラット35Sは省エネ性能や耐震性能の高い住宅について、当初5年間のローン金利を一定割合下げる。今の仕組みでは、太陽光発電などでエネルギー消費を実質ゼロにする「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」は0.75%、一定以上の断熱性能や省エネ性能があれば0.25~0.5%といった具合に金利を下げる。
日銀が7月に政策金利を引き上げたことを受け、大手行は変動型の住宅ローンの基準金利を上向きに見直した。住宅ローンでは購入者のおよそ7割は変動型を選ぶとされており、固定型の利用は伸び悩んでいる。足元でフラット35の利率が1.8%台なのに対して、大手行の新規借り入れ向けの最優遇金利は0.3~0.6%台と低い。長期金利に連動する変動型よりも先に金利が上がるものの、今後さらに政策金利が上がれば、変動型も上昇する可能性がある。フラット35は全期間固定のため、家計が金利変動リスクを気にする必要がなくなる。国交省は今後、フラット35の借り換え需要が増える可能性があるとみている。さらに政府は50年には住宅ストック平均でZEH水準以上の省エネ性能を確保する目標を掲げる。一般社団法人の環境共創イニシアチブによると、新築の注文住宅と建売住宅に占めるZEH水準を達成している住宅の比率は22年度に23%にとどまる。大手ハウスメーカーでは多くの新築住宅をZEH水準に引き上げている。一般の工務店などが受けた新築住宅ではいまだにZEH水準にとどいていないものも多い。