財産10年で倍増!
2024.09.16
「信託期間ハ大正拾参年八月七日ヨリ向フ百ヶ年トス」ちょうど100年前の大正13年(1924年)に結んだある契約がこのほど役割を終えた。三井信託(現三井住友信託銀行)が東京都文京区の護国寺と結んだ信託契約だ。活用したのは信託会社が委託者に代わってお金を管理・運用する金銭信託。護国寺が檀家総代から寄付されたお金を100年にわたって保全・運用し、期間終了後に石灯籠や記念碑などの保存費用に充てる目的だった。信託とは、財産を代わりに管理・運用してもらう制度だ。護国寺との案件は1924年設立の三井信託が創業時に扱った日本初の信託契約とみられる。その形式の基本はいまも変わっていない。資産運用を支える投資信託、高齢化に伴う相続、社会貢献のための公益法人への寄付。預金として眠る個人のお金が資産形成や寄付などの多様な使い道に向かうにつれて、信託の裾野は広がっている。2024年3月末時点の日本の信託財産総額は1702兆円と、10年でおよそ2倍に膨らんだ。