出生数最少5.7%減35万人
2024.09.09
厚生労働省が発表した1~6月の人口動態統計(外国人を含む速報値)によると、出生数が前年同期比5.7%減の35万74人だった。3年連続で40万人を下回り、上半期として比較可能な1969年以降で最少を更新した。24年は年間の出生数が初めて70万人を割り込む可能性も出てきた。
高齢化にともない死亡数は増えており、人口減少に歯止めがかかっていない。死亡数は1.8%多い81万1819人。出生数から死亡数を引いた自然増減はマイナス46万1745人となった。自然減は20年連続で、減少幅は過去最大を更新した。婚姻数は0.9%増の24万8513組と、2年ぶりに増加に転じた。出生数の先行指標となる婚姻数は増えたものの、新型コロナウイルス拡大前の2019年1~6月(31万6628組)の水準には及ばない。経済的な理由などから、結婚していても子どもを持つことをためらう人も少なくない。上半期の出生数は10年間で3割減った。厚労省によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は23年に1.20と、過去最低だった。なかでも東京都は0.99と1を割り込んだ。
少子高齢化と人口減少の進行に歯止めがかからなければ、社会保障制度の見通しにも影響する。厚労省が7月にまとめた公的年金の将来像を示す5年に1度の「財政検証」では、試算の前提となる70年時点の出生率を中間シナリオで1.36としており、下回れば将来の年金の給付水準が低下する要因になる。