第三者管理のマンション修繕、秋にも新制度
2024.08.19
マンションの修繕や清掃で割高な契約を結ばないよう新築時から規制する仕組みを、国が今秋にも設ける。管理組合の運営を巡り、委託先の管理会社が関連会社に決め打ちして修繕を発注することを防ぐ。積立金の支払いが過度に上がるといった不利益が住民に及ばないようにする。
修繕や清掃はマンションの住民から選ばれた管理組合の理事会が複数の会社からの見積もりを比較して発注先を選定するのが一般的だ。住民の高齢化に加え、理事会の業務を敬遠する人が多くなったことで、近年は管理組合の役員を外部の業者に委ねる「第三者管理者方式」が増えている。住民の負担軽減を目的とする一方で、管理会社が「身内」のグループ会社に修繕や清掃を発注するなどして管理費が割高になるケースが目立つようになってきた。放置すれば、将来の修繕や建て替えにあてる積立金にも影響しかねない。
国土交通省の外郭団体のマンション管理センターが新築マンションの管理規約や長期修繕計画を認定する際の要件を改める。規約に利益相反する取引を防ぐ規定を盛り込むことなどを求める。認定を受けるかは任意だが、居住者の住宅ローン金利などで優遇を受けられる利点がある。審査に落ちれば優遇を受けることはできない。
国交省によると2022年度の分譲マンションおよそ11万戸のうち約半分が認定を取得した。認定を申請したマンションの1割強が第三者管理者方式を前提としていた。このうち3分の1は管理規約に委託先の管理会社を明記していた。管理会社を変更するには規約を改正する必要がある。改正には区分所有者数と管理組合の議決権総数の4分の3以上の賛成が求められ、ハードルは高い。国交省がマンション管理業協会に加盟する事業者を23年に調査したところ、3割が運営業務の委託を受けていると回答している。