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輸入木材、上昇基調に

2024.07.15

住宅用の木材のうち輸入品の値上がりが目立っている。農林水産省がまとめた6月の平均価格は欧州産材が国産材に比べて約1割高い水準で推移している。円安や海上物流費の上昇を背景に商社の仕入れコストが上がっている。値上がりが続く国産材に引き合いが強まっている。

農水省によると、壁を支える部材として使う間柱(まばしら)の取引平均価格は、欧州産のホワイトウッド(3センチメートル×10.5センチメートル×3センチメートル)が6月時点で1立方メートル当たり3万3400円。前年同月比1%高い。用途と規格が同じ国産スギ材の価格を11%上回る。コロナ禍前は、供給が安定する欧州産や米国産などの輸入品は、国産より安いのが常だった。コロナ禍による世界的な木材不足「ウッドショック」にウクライナ危機による輸入材の供給懸念が重なり、22年半ばには輸入品の価格が国産を1割上回った。ウッドショックの収束で輸入品の価格は大きく落ちこみ、23年4月には輸入品と国産品の価格が並んだ。ただ、23年後半からは再び輸入品の価格が国産を上回る傾向が目立っている。24年6月は5月よりも値差がさらに開いた。

木材を輸入する商社が、円安による調達コストの増加を売値に反映したことが大きい。紅海の航行回避による世界的な海上物流コストの上昇分も転嫁した。欧州材を輸入する専門商社によると、原料となる丸太が値上がりしている影響もある。欧州で建設需要が鈍いことを受けて現地の製材所が減産していることも、日本への輸入木材の供給を引き締め、相場を押し上げる要因になっている。東京の木材問屋が扱うホワイトウッド間柱の仕入れ値は、23年の同時期に比べて1割程度上がったという。一方の国産材は国内の住宅市場の冷え込みで価格は弱含む。国産スギ間柱の6月の価格は1立方メートル8万4200円と5月比で1%下落。前年同月比では7%安と下げ足を早める。24年に入り、木材の流通関係者からは、値ごろ感のある国産材に引き合いがでているとの見方が増えている。「昨年は米国産や欧州産を使っていた販売先が国産使用に切り替えた」「割安感から海外産よりヒノキが選ばれている」との声が聞かれる。国産材も運送費や原料丸太価格の上昇など製材会社の生産コストは増しているが、長期的な住宅市場の低迷を背景に売値に反映できていない。足元で円安はさらに進み、輸入商社の仕入れコストは増えている。木材流通の現場では輸入コストの負担の拡大は国産調達コストよりも大きいとみられ、輸入材の取引価格はさらに上がる可能性がある。

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