2025年都内戸建て100万円超高く!
2024.06.20
東京都の新築戸建て住宅の販売価格が2025年4月以降に100万円前後値上がりしそうだ。日本経済新聞の調べによると、住宅に太陽光パネルの設置を義務付けた都の条例に対応し、大手住宅メーカーの約8割が価格に転嫁する見通しだ。設置費用の一部は都が支援するが、建築コストの増加が続くなか、消費者の負担増を避ける取り組みも必要になる。
都は22年に環境確保条例を改正し、25年4月以降に建築の確認済証を交付される住宅について、大手メーカー4などに太陽光パネルの設置を義務付けた。日経新聞は都内で年間2万平方メートル以上の住宅を供給する義務化の対象候補の50社に今年5月、対応状況や住宅事業への影響についてアンケートを実施。41社から回答を得た。設置義務化による戸建て住宅価格の上昇幅について聞いたところ「50~100万円未満」の見通しと答えた企業が27.5%と最多だった。「100~150万円未満」が22.5%で「150~200万円未満」12.5%「200万円以上」7.5%も含めると100万円以上の割合は4割を超えた。「変わらない」との回答は17.5%だった。価格の上昇理由は、「パネルなどの設置費用」が76%で、「建物の構造体強化」が36%で続いた。パネルの設置工事などに伴う「工期長期化で人件費が増える」と答えた企業も全体の1割強にのぼった。
住宅価格の上昇は販売に響く恐れがある。不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)によると、都内の平均販売価格は4月に5401万円。10年で約980万円上昇した。太陽光パネル設置義務化に伴う価格上昇について、「消費者の購買意欲が追いついてくるのか不安」と回答した企業も複数あった。
販売価格を抑える手法もある。リース契約での導入やオンサイトPPA(電力購入契約)などで初期費用をゼロにする方法だ。電力事業者が太陽光パネルを無償で設置し、家主は使用した電力量に応じて料金を支払う。住友不動産は東京電力ホールディングス傘下の東京電力エナジーパートナーと連携し初期費用なしで太陽光パネルを設置するサービスを開始した。都は太陽光パネルの設置義務化で、既存住宅や対象以外の新築住宅への波乃効果も含めてCO2(二酸化炭素)の削減量を年間43万トン程度と試算する。2030年までに都内の家庭部門で削減すべき量の約5%に相当する。都が実効性を示せれば、27年度の義務化を目指す相模原市など他の自治体への後押しとなる。
都は補助金の支給や節電効果のアピールなどで太陽光パネルの設置を促す構えだ。試算では一般住宅に4キロワットのパネルを設置する場合、年間9万2400円分の節電効果や売電収入があり、都の補助金を利用すれば8年程度で初期投資を回収できる。維持コストを差し引いても30年間で最大140万円のメリットが得られるとする。課題は事業者の負担軽減だ。ある住宅メーカーの担当者は「顧客への説明など作業の増加が予想される」と話す。立地や周辺環境で発電量が変わるため、設計段階で売電収入を予測して説明する必要がある。事業者が取り組みやすくする環境の整備も急務だ。