クレディセゾンは住宅ローンの申請から契約までの一連の手続きをオンラインで完結できるようにする。今秋から住宅金融支援機構の「フラット35」のオンライン受付を始め、3営業日かかっていた事前審査を最短15分に短縮する。足元で固定金利の住宅ローン需要が鈍化する中、手続きの迅速化で顧客の取りこぼしをなくす。

住宅ローンの申請は紙ベースの手続きが中心で金融事業の中でもデジタル化が遅れている分野だ。書類の郵送やデータの入力作業が発生するため、申し込みから審査結果の回答まで時間がかかっていた。セゾンはまず、住宅金融支援機構が手掛け自社で実務を担うフラット35に関する手続きをデジタル化する。今秋に事前審査、年内に本審査のオンライン申し込みの受け付けを始める。

フラット35は住宅金融支援機構が提供する全期間固定型の住宅ローンで、他の商品と比べて金利や事務手数料で独自性を打ち出しづらい。セゾンは通常3営業日ほどかかる事前審査を最短15分、1週間程度かかる本審査を最短翌営業日に短縮し、他の金融機関とスピード面で差をつける。背景には固定金利の住宅ローンの先行き不透明感がある。住宅金融支援機構によると、24年1～3月のフラット35の取扱額は2354億円と前年同期化で4割減。同機構は「相対的に金利上昇幅が小さかった変動金利の住宅ローンに顧客が流出した」と説明する。事前審査のスピードは利用者にとって金融機関を選ぶうえで重要な指標だ。実際、フラット35の実行件数首位のSBIアルヒも自社のホームページで「最短当日」と事前審査にかかる時間の短さをアピールしている。セゾンのフラット35の取扱残高は24年3月末時点で1兆3734億円で、住宅金融支援機構によると3位。フラット35を取り扱う金融機関は全国に318あるが、自社でオンライン申し込みを受け付けているのは現時点で2機関にとどまる。

新たに構築した自社システム「SAFLAT(サフラット)」で顧客データを管理し、窓口業務を担う代理店と、審査を担うセゾン本社の事務手続きを効率化する。与信方法そのものを変えるわけではないため、貸し倒れリスクを抑えたまま審査にかかる時間を短縮できるという。

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