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個人向け、新規貸出額3兆円超!投資不動産ローン復調

2024.06.16

相続対策や資産形成への需要の高まりを背景に、一時下火になっていた個人向け投資用不動産ローン(アパートローン)が再び伸びている。2023年度の国内銀行の新規貸出額は3兆円を超え、3年連続で増えた。

大都市部を中心に価格上昇が続く不動産市場の活況を映しているが、今後、金利が上昇していけば貸し出しが鈍り、不動産価格に影響を与える可能性もある。日銀統計によると、銀行が「個人による貸家業」に設備資金を新規に貸し出しした金額は23年度に3兆684億円と前年度比で7%増えた。特に直近の24年1~3月期の伸び率は1割に達し、貸出額も9778億円で、四半期としては6年ぶりの高水準となった。

積極的に手がけているのは大都市を主要な営業地域とする地方銀行だ。コンコルディア・ファイナンシャルグループ傘下の横浜銀行は3月末時点の残高が1兆9317億円と、前年同月比で2%増えた。同じグループで東京都に50以上の支店を持つ東日本銀行は21%増の1942億円だった。静岡銀行でも3月末のアパートローンの残高が1兆1728億円と5%増えた。銀行のアパートローンが伸びているのは、株価や地価の上昇で富裕層が増え、不動産を活用した相続税対策、資産運用の需要も高まっているためだ。

野村総合研究所の推計では、純金融資産を1億円以上保有する富裕層は11年以降、一貫して増加傾向にあり、21年時点で約150万世帯いる。金融資産に加えて土地を持つ富裕層も多く、国税庁の統計によると相続財産の統計によると相続財産の約3分の1は土地だ。賃貸用の不動産は相続時の節税効果が見込めるため、富裕層を中心にお金を借りてでも賃貸用住宅を取得しようとする考えが根強い。横浜銀行によると足元では40代後半から60代の個人を中心に資産形成目的での借り入れも増えているという。静岡銀行も相続対策向け融資、資産形成を目的とした融資に特化した専門部署をそれぞれ設け、県外の都市圏に住む弁護士や医者、公認会計士らにも営業をかけている。

海外富裕層による日本の不動産の取得ニーズも高まっている。非居住者向けの投資用不動産ローンを取り扱う東京スター銀行では24年1~3月の申込件数が前年同期比で6倍に膨らんだ。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出や、円安を背景に投資資産の分散を図りたい台湾の富裕層から引き合いが増えているという。

借入金利がなお低い中で、不動産や賃料の下落リスクは限定的とみて、富裕層マネーの一部が不動産に向かっている。今のところ不良債権となる比率も低いため、貸出残高を伸ばしたい銀行は富裕層の借り入れ申請に積極的に応じている。日銀も4月にまとめた金融システムリポートで「局所的に高価格帯の不動産取引が増えており、一部に割高感がうかがわれる」と指摘した。

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