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長期金利13年ぶり一時1.1%、生保の予定利率上げ!

2024.06.08

金融商品の金利引き上げの裾野が広がってきた。長期金利が一時、13年ぶりに1.1%に上昇した30日、住友生命保険は契約者に約束する利回りを約11年ぶりの高水準に上げると発表した。6月適用分の固定型住宅ローンの金利も13年ぶりの高水準をうかがう。実生活に「金利ある世界」の恩恵と負担増双方の波が押し寄せている。

住友生命は30日、契約時に保険料をまとめて払い込む一時払い終身保険の予定利率を6月から引き上げると発表した。国内の長期金利の上昇を踏まえ、契約者に約束する利回りを現行の1.0%から1.1%に改める。同保険では予定利率の引き上げが相次ぐ。明治安田生命保険が5月に1.1%に、日本生命保険も1月に1.0%に引き上げた。各社は金利環境に応じて予定利率を見直しており、金利上昇が続けばさらに引き上げる可能性がある。預金金利にも上昇圧力がかかっている。東京スター銀行は7月から普通預金の金利を条件に応じて最大年0.3%に引き上げる。現在は給与振り込みか年金の受け取りを条件に年0.25%としているが、預金獲得の競争が始まるなかネット銀行などに対抗する。

日銀がマイナス金利政策を解除した3月以降、メガバンクが先陣を切って普通預金の金利を上げた。普通預金の金利はそれまでの20倍の0.02%とし、一部は定期預金の金利も引き上げた。長期金利の上昇で社債に投資妙味を感じる個人も増えそうだ。機関投資家は利回り上昇(価格の下落)による評価損を警戒して社債に積極的に投資しづらいが、個人は償還まで持ちきるのが前提で評価損をきにせずに済むためだ。

ソフトバンクグループは6月14日に5500億円規模の個人向け普通社債を発行する。2031年償還の7年債で、利率は年2.65~3.25%を仮条件とし、5月31日に決める。3月に発行した同じく5500億円の個人向け社債は7年債で年3.04%だった。金利水準に注目が集まる。金利上昇は恩恵をもたらす半面、借り入れがある個人や企業にとっては負担増につながる。代表格は住宅ローンだ。固定金利型の住宅ローンは長期金利と連動する。足元の長期金利の上昇で、比較可能な10年固定型の基準金利は5月の大手銀行5行の平均で3.85%と直近で最も高かった23年11月の3.87%に近い水準だ。

住宅ローン市場は短期金利に連動する変動型が約7割を占めている。ネット銀などが低金利を提示しているのも変動型が多く、大手行は変動型の基準金利は据え置いている。当面は住宅の購入者の大きな負担増にはつながらないとの見方が多いが、足元ではじわり固定型への関心も高まっているという。短期金利に連動しやすい日本円東京銀行間取引金利(TIBOR)も30日、3ヶ月物が前日比0.01%高い0.28%台後半と約11年ぶりの高水準に上昇した。3月のマイナス金利解除前後で急騰し、いったん落ち着いていたが5月に入り再び上昇している。TIBORは銀行が融資する際の基準になる金利の一つ。楽天銀行は住宅ローンの変動金利の指標にしており、同行は変動基準金利を6月に1.333%と、5月に比べて0.02%高い水準に設定する予定だ。企業の金利負担も増え始めている。日銀がまとめた国内銀行の新規貸出しの平均金利は3月に0.803%と、2月から0.1ポイント以上、上がった。最後に1%を超えたのは2014年4月で、長年貸出金利は低くとどまってきた。適用する変動金利は数ヶ月ごとに見直す例が多く、金利上昇の波は少しずつ広がりそうだ。

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