空き家の増加が止まらない!
2024.05.18
総務省が4月発表した2023年10月時点の空き家率は13.8%で過去最高だった。市区町村は危険な物件の解体を進めるものの、費用回収がうまくいかず、財政を圧迫する事例がある。一方で、空き家を生かす取り組みは広がる。各地での「闘い」は地域経済を左右する。
5年に1度の「住宅・土地統計調査」で空き家は23年までの5年間で50万戸増え、899万戸と比較可能な1973年以降で最も多くなった。不動産の流通で仲介手数料といった業者の収益は取り扱う物件の価値によって決まる。放置されて状態の悪くなった空き家は避けられがちで、地方自治体が運営する空き家バンクが橋渡しに走る。富山県上市町が運営する「0円空家バンク」はこれまで16戸の無償取引を成立させた。空き家の所有者は不用品の処分などで最大10万円、取得者も初期経費として50万円の補助を町から受けられる。
親が残した田舎の一軒家の処分に困っている人は多い。そのままにしていても固定資産税はかかる。管理ができず周囲に悪影響を及ぼすほど危険な物件になれば、解体も選択肢になるが、費用は数百万円に上る。放置され、朽ち果てた一軒家は自治体側で撤去しなければならないこともある。多額の出費を強いられる前に手を打つことが重要となる。
日本の空き家は海外の熱視線を受ける。英国に住むオペ・アジャナクさんと妻のリンさんは、2023年末に、静岡県熱海市などの物件を見学した。2人は「古い空き家は日本の伝統や文化を感じられる。第二の生活拠点にしたい」と話す。外国人に空き家を紹介するサービスは広がり、パルテノンジャパン(東京・千代田)が20年に始めた「AKIYA&INAKA」の成約は増えている。アレン・パーカー社長は「予算は1000万円~3000万円という人が多い」と説明する。