マンション建築費再上昇
2024.04.14
マンションの建築コストが再び上がっている。民間調査機関の算出する指数は2ヶ月ぶりに上昇し、過去最高を更新した。原材料高に加え、人手不足を背景とした人件費の上昇が幅広い資材の価格や建設現場の作業費を底上げしている。
建物物価調査会(東京・中央)が10日発表した東京地区の3月の建築費指数(速報値、2015年=100)では、マンション(鉄筋コンクリート造)が129.7と前月から1.3%上がった。マンション建築費は1月まで6ヶ月連続で最高値を更新し、2月は前月比で横ばいだった。3月に再上昇し、過去最高となった。前年同月比の伸び率は6.9%に上る。マンションの建築費を押し上げたのは「人手不足による人件費の高騰」だ。指数の内訳をみると、コンクリートを流し込む型枠にかかるコストが上昇に寄与した。型枠工の労務費が上がっていることが大きい。高齢化で退職する技能者いる一方、高所など危険を伴う場所での仕事は若い人に敬遠されるためだ。国土交通省の「建設労働需給調査」によると土木や建設に関わる対象職種のうち、「型わく工(建築)」は関東で顕著に不足する。都心部では大規模な物件が多く、技能者は取り合いの様相。確保のための費用が上がっている。
台所のシンクや手すりに使うステンレスの値上がりも指数を押し上げたとみられる。これも背景にあるのは人手不足だ。日鉄ステンレスは3月契約分のステンレス鋼板の一般流通(店売り)向け価格を前の月から3~4%引き上げると発表している。主原料であるニッケルの価格上昇に加え、製造にかかわる人件費や製品輸送などの物流費が上がっていることも反映した。人手不足は建設現場の作業員の人件費だけでなく建材価格も押し上げ、マンション建設全体のコスト増につながっている。