空き家848万戸、56%が共同住宅
2024.03.31
全国で築40年超のマンションはおよそ20年後には3.5倍の445万戸に増える見通しだ。人生100年時代になっても適切に建物を管理しなければ住めなくなる。
マンションの老朽化は全国で加速する。東京都が1983年末以前に建てられたマンションを対象に実施した調査によると、9400棟のうち16%で管理不全の兆候があった。老いたマンションが放置されれば多くの問題が生じる。鉄筋露出や外壁の剥落で住民の暮らしに危険をおよぼす可能性が高まる。地震で建物が倒壊する恐れもある。賃貸市場への影響も懸念される。
政府は高度経済成長期、住宅を郊外に大量供給して急増する住宅需要に応えた。ダイニングキッチンなど先進的な設備を備えた「団地」に住むことは、子育て世帯の憧れとなった。住宅を取り巻く状況は一変した。人口減少で都市機能の集約が進み、住環境や公共交通が整う都市部のマンション人気に火がついた。時代の変化に置いていかれた住宅政策のツケがここにきて管理不全マンションとして顕在化する。
総務省によると全国の空き家848万戸のうち、半数以上の56%を占めるのがマンションを含む共同住宅だ。誰もいなくなった「空きマンション」が問題の核心にある。政府は空きマンションの増加に焦りを募らせる。屋敷撤去の最終手段となる行政代執行は、全戸空室であることが条件で戸数の多いマンションには適さないからだ。高齢化によって親から子へ相続される古い物件は増えていく。適切な管理を怠れば廃墟化したマンションも増殖しまちづくりに支障をきたしかねない。