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住宅ペアローン死亡時返済ゼロ!

2024.03.16

ネット銀行や大手銀行が、夫婦で住宅ローンを借りる「ペアローン」の開拓に力を入れ始めた。ペアローンは1軒の住宅を購入する際に、単独の住宅ローンではなく、夫婦それぞれがローンを組むことで借入額を増やす仕組み。夫婦がお互いに相手の連帯保証人になる場合が多い。都心部などの住宅価格が高止まりする中で、単独では手が届きづらい物件を購入する目的で利用が増えている。

従来の団信では片方が死亡や病気などで返済が難しくなった場合、保険が適用されるのは働けなくなった人だけだ。配偶者のローン残債は残る。共働きの場合は債務が残る配偶者も子育てなどのため転職や時短勤務で給与水準を下げなければならないケースも多く、返済負担が実質的に大きくなることがある。

PayPay銀行は6月、ペアローン向けの団信として新たに、死亡やがんで配偶者の残債までゼロにする保険の提供を始める。同様の団信の提供は邦銀で初めてとなる見込みで、カーディフ生命保険と組む。通常の団信よりも上乗せ金利は大きくなるが、配偶者のリスクまでカバーすることで需要を取り込む。がん以外の病気の場合は、働けない状態が12ヶ月続くと借入残高をゼロにする。

りそな銀行と埼玉りそな銀行も10月から、がんと診断された際などに本人と配偶者が抱えるローンの残高をゼロにするペアローン向け団信の提供を始める。夫婦のいずれかが、がんになった場合や死亡時に世帯で返済に窮する事態を防ぐ。住宅価格の高騰に伴うペアローンによる高額借り入れの増加に対応する。第一生命保険も同様の保険商品を開発し、銀行向けに売り込みを始めた。借入金額を大きくする需要が高まっている一方、住宅ローン市場全体は伸び悩んでいる。住宅金融支援機構によれば、2000年代以降で国内銀行の住宅ローン新規貸出額は大きく変化していない。ネット銀の台頭などで競争が激しくなる中、シェアを拡大するには需要に沿った住宅ローン商品を取りそろえる必要が出てきた。

生活の基盤となる住宅を担保にとる住宅ローンは銀行にとって優良な融資先だが、住宅価格が高騰するなか、延滞などの比率はじわりと上昇している。住宅金融支援機構によると、フラット35で実質的な貸し倒れや延滞などになった債権の比率は22年度に0.61%。3年前に比べて0.11ポイント上昇した。同機構によれば、住宅ローンのリスクとして金利上昇局面での延滞増加を挙げる金融機関は23年度に46.2%と、前年度から6.5ポイント上がった。大きな金額を借り入れるペアローンで団信を充実させるのは、物価と金利の上昇局面で銀行自身のリスクを抑える意味合いもある。

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