埼玉、空き家3割解消!問題物件全国100万戸
2024.03.03
空き家を減らそうと各自治体が対策を急いでいる。焦点は老朽や破損により放っておくと倒壊や景観悪化など周辺に悪影響を与えかねない物件だ。管理状態の悪い空き家は全国で100万戸に達する。独自の条例で所有者に処理を促したり、新興企業と解体を進めたり、各地は拡大を抑えようと知恵を絞る。
国の「住宅・土地統計調査」によると2018年時点で使用目的のない空き家は全国に約350万戸で住宅の5%強。約3割が問題を抱える。状態の悪い空き家を解体による撤去や利活用に向けた修繕により処理できた割合は全国平均が23年3月末で16.7%。都道府県では埼玉県が30.3%と唯一3割を超えた。三重県、茨城県が続き、18都道府県が全国を上回った。埼玉県内では所沢市が国の特措法に先駆けて10年に空き家の適正管理を掲げた条例を定めた。管理不全と認めた空き家の所有者に市が助言・指導・勧告し、改善がなければ命令もできる。22年度は139件の助言に対し、100件の修繕・撤去に結び付けた。民間と連携した取り組みも広がる。同県の横瀬町は21年に空き家再生の新興企業と町内の空き家13戸の資産価値を調べた。所有者に伝えたところ6戸が売却や賃貸に出され、一部に再び人が住む。
23年12月に改正空き家特措法が施行され、倒壊などの危険が迫る空き家に加え、壁や窓の一部損壊など管理不全の物件も市区町村の行政指導の対象とした。改善を勧告されると所有者は固定資産税の負担が増す。所有者がわからなくなり放置される空き家を抑えようと24年4月から不動産の相続登記も義務となる。
一連の行政指導や行政処分には時間がかかり、強制撤去の費用を所有者から回収するのも簡単ではない。このため当初は自治体にためらいが目立ったが、最近は各地が行政代執行にも積極的に動く。