賃貸住宅市場・シングルタイプ苦戦
2023.12.11
新築分譲一戸建てと同様に賃貸市場も建築コスト高騰の影響がある。その半面、長年実現しなかった賃料アップの好機と捉えることもできる。
国土交通省の建築着工統計を見ると、17~20年は建築不良や不正融資などが社会問題化した影響で賃貸住宅向け融資が厳格化され、低調な着工数が続いた。それが21年になると着工数が復活し始め、現在は増加傾向にある。成約数も順調で、特に一都三県や近畿といった都市部では堅調な伸びを示している。賃料も東京都のファミリータイプ(3LDK以上)の賃料を20年と23年で比較すると15.3%も上昇。都心7区(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区・豊島区・文京区)に至っては26.4%も上昇している。
ところが、東京では都心7区の23区のシングルタイプ(1R~1DK)の賃料がほとんど上昇していない。テレワークが普及した影響で、賃料が高い都心に住む必然性が薄らぎ、都心以外を選ぶケースが増えたことが理由として挙げられる。
建築コストの高騰で新築は強気の賃料を設定せざるを得ない状況になってきており、全体平均より3割程度高く設定されている。そんな中で築6~10年の物件の問い合わせが増加している。設備や仕様が最新の物件近く、新築と比較して割安感があるのだろう。
ペットフード協会によると、22年時点で飼育されているペット(犬・猫)の飼育数は約1589万頭で、国の人口動態統計で出ている15歳未満の子どもの数(約1450万人)を上回っている。「賃貸契約者動向調査(首都圏)」によると、賃貸住居者のうちペットを飼っている人の割合は18.2%。今後ペットを飼いたいと考えている人の割合が44.5%あることから、ペット可物件に大きな伸びしろがあるといえる。