空き家ローン全国展開!オリコ25の地域金融機関と組み専用ローンの取り扱いを開始!
2023.10.28
金融業界が空き家解消支援に乗り出す。オリエントコーポレーションは地域金融機関と専用ローンを全国展開し、三菱UFJ銀行はフィンテックなどと空き家活用を探る。訪日客(インバウンド)の回復による民泊利用などが見込めるためで、地域の活性化や資金需要の開拓につなげる。
オリコはスタートアップの空き家活用(東京・港)、全国の地域金融機関と組んで専用ローンの取り扱いを始めた。空き家活用が運営する物件のマッチングサイト「アキカツナビ」で空き家を購入した人などに、オリコが事前審査し保証した上で、地銀などが最大1,000万円(期間は15年)融資する。
北日本銀行、京都銀行、きらぼし銀行、滋賀銀行、島根銀行、筑邦銀行、千葉興業銀行、栃木銀行、福井銀行など25の地域金融機関と提携する。滋賀銀行ではすでに200件の申し込みがあり、平均単価は400万円程度という。オリコは他の地銀や信用金庫にも取り扱いを広げる。
日本では空き家の増加が社会問題になっている。総務省によると2018年時点で全国には849万戸の空き家があり、30年間で2倍になった。
金融機関にとっても見逃せない問題だ。新築・中古住宅の購入者にローンを提供してきたが、それらの物件が核家族化や所有者の老人ホーム転居によって空き家になり、適切に管理しない家屋が増えれば倒壊や犯罪などのリスクが高まる。周辺の不動産の資産価値が下がる可能性もあり、地域経済に影響が出る懸念がある。
これまでも自治体には空き家情報を登録する「空き家バンク」などはあったが情報が不十分で、身近な相談窓口や対応する金融商品も少なかった。地域経済に詳しい金融機関だからこそ必要な資金を提供できるとみる。地域によっては旅館の廃業や人手不足で訪日客が宿泊できるような施設が足りないため、民泊利用などを前提にした空き家向け融資の需要が見込める。
空き家に注目が集まるのは、新型コロナウイルス禍後の経済再開や円安で地方でも訪日客が増えていることも大きい。日本政府観光局(JNTO)によると9月の訪日客数は約218万人で19年同月の96.1%となり、新型コロナ前の水準をほぼ回復した。海外の富裕層が定期的な滞在先として空き家を購入することもある。
6月には空き家の活用を促す改正空き家対策特別措置法が成立し、年内にも施行される見通し。今回の特措法改正では管理状態が悪い空き家について改善勧告に従わない場合、固定資産税の優遇対象から外す。住宅に用途が限られた区域でも空き家を店舗などに転用できるようになり、空き家活用の機運が高まる。
三菱UFJ銀行やみずほ不動産販売、解体工事仲介サービスのスタートアップ、クラッソーネ(名古屋市)などは9月「全国空き家対策コンソーシアム」を創設した。参画する11企業・団体は空き家の流通や解体といった専門技術や顧客をもつ。専門のノウハウを共有し、自治体からの問い合わせ対応や空き家対策の情報発信を担う。