都心消える中小オフィスビル
2025.09.20

東京23区で中小オフィスビルが減少している。この10年間に床面積ベースで東京ドーム25個分が消失する見通しだ。オーナーの高齢化や修繕コストの高騰を背景に、不動産デベロッパーが買い取って需要が旺盛なマンションへ建て替えるケースが目立つ。老朽化に伴う低稼働のオフィスの淘汰が進みそうだ。「建て替え費用を個人で負担するのは厳しい」出版業を営む50代のビルオーナーは今年、東京都新宿区にあるビルの土地・建物を大手デベロッパーに売却する契約を結んだ。親から相続して事務所として使っていたが、築50年以とビルの耐用は限界を迎えていた。駅から徒歩10分未満という好立地にあることから、マンションへの建て替えが決まった。土地価格分の建物の所有権を得られる「等価交換方式」のスキームをとっており、このオーナーが完成後に一部を事務所や住宅として使う予定だ。ザイマックス総研(東京・港)は、東京23区内の中小ビル(延べ床面積が990~1万6500平方メートル)が2025年末に約8700棟と10年前より400棟以上減ると推計する。床面積は計約118万平方メートル減り、日本一の高層ビル「麻布台ヒルズ森JPタワー」(同)の2.5棟分、東京ドームの敷地面積25個分に相当する。中小ビルが減った結果、1981年以前の旧耐震ビルの比率は25年に23.2%と10年前より6.4ポイント低下した。