マンション共用部分欠陥!損害賠償請求しやすく
2025.06.27

政府は共用部分に欠陥のあったマンションで管理組合が損害賠償を請求しやすくする。法律を改正し、組合が住人を代表して賠償請求できることを明確にした。国土交通省が定める管理規約のひな型も改め、受け取った賠償金の使途に関して過去の区分所有者が口出しできないようにする。マンションの外壁のタイルの剥落や雨漏り、耐震性の不足といった欠陥がみつかった場合、引き渡し後10年間は瑕疵(かし)担保責任によって売り主が賠償しなければならない。改修した際に修繕積立金などを原資として組合が費用をいったん負担し、損害賠償を請求するケースがある。現行の区分所有法では賠償請求を巡って、管理組合が過去の所有者までを代表できず、訴訟の妨げになっているとの指摘があった。法制審議会での議論を経て、5月23日の参院本会議で同法の改正を決めた。2026年4月に施行する。
一人でも中古で購入した所有者がいるマンションで、管理組合が代理で請求することが難しい背景には16年の東京地裁判決がある。この裁判で中古の購入者がいる物件の組合は原告適格を欠くと判断された。区分所有権が新たな住人に移っても、損害賠償の請求権は自動的には移らないとされることになった。管理組合がかつての所有権を探して賠償請求権の譲渡に関する同意を取り付けなければならず、裁判のハードルとなっていた。国会審議では野党から、賠償金を勝ち取ったとしても過去の所有者が一部を「持ち逃げ」するリスクがあるといった声が上がった。今回の法改正だけでは不十分で、かつての住人が賠償金の使い道を自由に選べるとして対応を求めていた。法務省や国交省は慎重な立場で、憲法29条の財産権を侵害する可能性があるとの見解を示した。このため法改正とは別に、全国の管理組合が規約作成の際に参考とする国交省の「標準管理規約」を改めることにした。法的な拘束力はないものの、全国の9割以上の組合が準拠している。