集成材原料、欧州産4%高
2025.05.25

木造住宅の梁(はり)や柱に使う集成材の原料、ラミナ(引き板)の値上がりが加速した。主流品である欧州産の4~6月期の対日価格は1~3月期に比べ4.2%高く、2四半期連続で上昇した。丸太価格の上昇などに伴う欧州の製材会社の値上げ要求を日本側が受け入れた。国内の集成材価格に転嫁され、住宅建築コストの押し上げ材料となる。
ラミナは無垢(むく)の薄板だ。日本はフィンランドやスウェーデンなどで作られたラミナを輸入し、国内で貼り合わせて集成材を作る。集成材は強度が高く無垢の木材に比べて品質が安定している。木造住宅の梁や柱に使われる。値上がりは2四半期連続で、1~3月期の3.5%高に比べて上昇幅が拡大。2022年7~9月期以来の高値となった。
欧州ではラミナの原料となる丸太の調達価格が上昇している。ウクライナ情勢の悪化以降、主な原料だったロシア産丸太が入ってこなくなったうえ、環境規制で伐採量を増やすのが難しい事情がある。環境配慮の観点から、プラスチック製品から紙製品に移行する流れのなかで、紙製品に使うパルプ用の丸太の需要が増えていることも影響している。パルプ用丸太の需給の引き締まりが丸太全体の不足感を生むとともに丸太相場全体を押し上げ、ラミナ向けの丸太価格に波及している。人件費い電気代など生産コストの上昇も値上げの理由となった。
国内では人口減少や建設費の上昇などを背景に住宅の着工戸数や着工面積の減少傾向が続き、集成材の需要は強くはない。そのため欧州産ラミナの対日価格も24年10~12月期まで2四半期連続で下落していたが、1~3月期以降は欧州側の採算に配慮して値上げ要求をのむ局面になっている。
国内の住宅着工を構造別に見ると、木造の戸数や面積は減少しているものの、鉄筋鉄骨コンクリート造や鉄筋コンクリート造などの非木造の建物に比べれば落ち込みが少ない。鉄鋼やコンクリートの価格上昇の影響に比べれば木材を使う工法のほうがまだコストを抑えられると考える住宅業界などから一定の集成材の需要があり、ラミナの値上げ受け入れの余地もあったようだ。原材料費や製造費の高止まりを受け、欧州の製材会社は今後も対日価格を引き上げようとする意向が強い。ラミナの対日価格が上昇すれば集成材を手掛ける国内製材会社の生産コストは増える。そのコスト上昇分が国内の集成材価格に転嫁されれば、国内の建築コストを押し上げる構図が続くことになる。