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老朽物件の再生後押し

2025.02.15

政府はマンションの改修や取り壊しなどに必要となる住民の同意のハードルを下げる。現在は区分所有者全員の賛成が求められる1棟丸ごとのリノベーションや解体を、5分の4以上の賛同で可能にする。老化物件は年々増加しており、要件緩和で再生を後押しする。

「1棟丸ごとリノベ」は、柱や梁(はり)といった主要な構造部分を残して全体を改修する手法だ。建物を解体して用地を売却する「取り壊し・売却」という再生方法もある。そのほかに敷地と建物を一体で売却したり、定期借地権付きのマンションを取り壊したりするものが再生の手法として考えられる。政府はこれらの計7手法について所有者全員の賛成を必要とする現行の要件を、すべて5分の4以上に緩和する。関連する法律の改正案を今国会に提出する方針だ。法案が成立すれば、2026年4月にも施行する。

耐震不足やバリアフリー基準の不適合といった場合はマンションの再生を急ぐ必要があるため、合意の要件を4分の3以上の賛成に緩める。現状でも5分の4以上の賛同で実施可能な「建て替え」についても、耐震不足などの場合には要件を4分の3以上に緩める。建て替えの際に住民らで設立する事業組合への税制上の優遇措置も適用対象を広げて、多様な再生手法に対応できるようにする。マンション政策を巡っては基本的な権利関係を定めた区分所有法、管理のあり方を定めたマンション管理適正化法、建て替えなどの事業手法について定めたマンション建て替え円滑化法がある。政府はこれらを一括で改正することを目指す。改正案では事業性の確保で建て替えを円滑に進めるために、隣り合う土地の所有者に建て替え後のマンションの区分所有権を付与できる仕組みを設ける。

政府がマンション再生の政策を加速するのは、高度経済成長期以降に建設された老朽物件が増えているためだ。国土交通省によると築40年以上のマンションは23年末に137万戸だったが、43年末には464万戸と3.4倍に増えるという。所有者の高齢化も進んでいる。23年度に築40年以上のマンションでは55%の住戸で世帯主が70歳以上だった。築年数の古いマンションでは所有者の死亡や、所有者変更の届け出の未提出などで再生の決議が困難なケースも増えている。マンションが古くなっても適正に管理できる体制を整えるには、新築時から管理費や修繕などの計画を策定しておくことが不可欠だ。改正法案には分譲する不動産会社が管理計画を作成して国が認定し、計画を管理組合に引き継ぐ仕組みを新設する。管理不全のマンションを生まないように自治体にも関与を求める。外壁が落ちるなどの危険なマンションの管理組合に報告を求めることができるようにする。国は自治体が管理組合へ管理の専門家を派遣できるよう資金面で支援する。

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