【マンション建て替え】隣接地の活用後押し!
2025.01.26

国土交通省はマンションを建て替える際に、隣接する民家や駐車場などに用地を広げて建物を大きくできる取り組みを後押しする。隣接地の所有者に建て替え後のマンションの区分所有権を付与できるよう法改正する。人口減に直面するなか、新規開発に頼る手法ではなく、既存の都市機能を刷新する住宅政策を進める。
近年は築年数が重なった建物が増えたほか、シニア層の住民が多いというマンションの「高齢化」が課題となっている。建て替えを進めようとしても資材価格や人件費の高騰などで費用負担が増大し、住民間での合意形成が難しくなっている。容積率の上限いっぱいまで使って建てたマンションが増加していることも、調整が難航する要因となっている。隣接地を活用して建物を大きくし、部屋数を増やせれば、売却収入によって建て替えコストを抑えることができる。国交省は2025年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
戦後の高度成長期を中心に、政府は郊外の集合住宅の建設を後押しして人口増の需要に応えてきた。人口減少時代に入り、公共交通や病院が整う都市部のマンションの新陳代謝を重視する政策に改める。耐震強度の引き上げは、自然災害時の安全性向上にもつながる。マンションは建て替えの際に、区分所有権をもつ既存の住人で組合をつくる。現行法では外部の住民に区分所有権を付与することができない。隣接地を取り込んで用地を広げる場合でも、隣接住民らには取得価格に相当する補償金を支払うことしかできない。補償金が入っても、新たな住まいを探さなければならないケースがあり、同意を得にくいといった問題があった。「マンション建て替え円滑化法」を改正し、隣接地の所有者の協力を得やすい環境整備につなげる。23年末時点でマンションは国内におよそ700万戸分が立地する。耐用年数を迎えるなどして建て替えを完了できたのは、24年4月までに2万4千戸程度となっている。今回の法改正では、借地権が設定されたマンションを建て替える場合に、土地の持ち主の所有権を建て替え後の区分所有権に変えられる制度も盛り込む。国交省によると、マンションは国内におよそ700万戸分が立地する。耐用年数を迎えるなどして建て替えを完了できたのは、24年4月までに2万4千戸程度となっている。今回の法改正では、借地権が設定されたマンションを建て替える場合に、土地の持ち主の所有権を建て替え後の区分所有権に変えられる制度も盛り込む。国交省によると、マンション建て替え時の1世帯あたりの負担額は2000年代に900万円程度だった。20年代にはおよそ2000万円に膨らんでいる。資材高や建設人材の不足などで費用負担は今後も増加が見込まれる。マンションの建て替えでは法務省が、住民間での合意形成を後押しする区分所有法の改正を検討している。現在は建て替えの決議に全区分所有者の5分の4以上の賛成が必要でハードルが高い。