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中古マンション上昇相場に陰り

2024.11.28

中古マンション相場の勢いに陰りが見えてきた。市況が軟調に傾いているのは福島県や愛知県など全国15県と1年前の3倍に増えた。金利の先高観や物価高などで購入意欲が鈍り、多くの地域で上昇相場の勢いが失われた。中古マンション市場は転機に差し掛かっている。

不動産調査会社、東京カンテイ(東京・品川)が47都道府県で家族向けの中古マンションについて、売り出し価格の動向を調査し、結果をとりまとめた。13ヵ月移動平均の変動率などを加味し、相場動向のトレンドを分析した。仙台市宮城野区にある中古の高層マンション。夏場は3000万円台前半だったファミリー向けの物件が数ヶ月ほどで、1割ほど引き下げられていた。角部屋の優良物件だが、買い手はまだつかない。同区では2024年9月の平均希望売り出し価格が、専有面積70平方メートル換算で2260万円だった。1年前と比べると4%下がっている。東京カンテイの井出武上席主任研究員は「都内23区はまだ下がる心配はないが、全国でみると状況は違う」と語る。9月は47都道府県のうち23都道府県が「やや上昇傾向」だった。前年同月から6減った。一方で前年はゼロだった「下落傾向」が山形県や福島県、愛知県など8県に、「やや下落傾向」は宮城県や埼玉県など7県となり2増えた。横ばいで「足踏み」だったのは9。堅調な東京都は、9月時点の平均売り出し価格が23区すべてで前年よりも上昇した。港区は2億375万円、中央区は1億4090万円と、いずれも前年比42%高い。都区部の物件は海外投資家や富裕層が主な購入層で、別格の市場になっている。これまで東京に引っ張られ、地方でも売り手が強気になり、価格を引き上げてきたが、市況の勢いは多くのエリアで息切れしている。地方での中古マンション市場の変調は3つの要因が重なっている。第一に、東京都心と比べると所得水準が低く「相場が上昇しすぎた結果、地元の人たちの手が届く価格でなくなっている」(井出氏)点だ。価格が上がれば、地方では戸建てや新築マンションとも競争し、中古マンションの魅力は薄れる。第二が物価高だ。中小企業に勤める人たちが多く、賃上げの恩恵を十分には得られていない。最後が今後の金利動向だ。住宅ローン金利が上昇に向かう動きをみせており、住宅購入マインドに水を差している。

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