不動産IDのビジネスへの活用
2024.11.07
不動産IDとは建物や部屋ごとに番号を振って識別できるようにする仕組み。番号を起点に民間や行政のデータとつなぐことで、不動産や建設分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)のカギになると期待される。表記が複雑な日本の住所の簡略化にもつながる。国土交通省が2023年に民間企業や行政など300以上の社・団体が参加する協議会を打ち上げて、社会実装に力を入れている。
国交省は不動産IDの実証事業を23年度にも実施した。法務省の登記情報をもとに、13ケタの特定番号と集合住宅の部屋番号などを表す数字4ケタの計17ケタの番号を割り振った。ただ登記上の地番は郵便の住所より対象範囲が広く、都市部で狭小住宅が増える中で所在地の把握が難しかった。公営住宅など登記対象外の建物もあった。不動産IDの構想は、2000年代の国交省の研究会の提言から始まった。当初は不動産市場の透明化のために、番号に間取り情報や修繕の履歴などをひも付ける狙いだった。近年、宅配や防災など多くの民間や公的なサービスに活用できると認識されている。