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中古マンション都外は下落鮮明

2024.10.11

埼玉県や千葉県、神奈川県で中古マンションの価格下落が鮮明になっている。高騰が止まらない東京都心の物件とは対照的に周辺3県は前年同月比では10ヶ月連続でマイナスとなって、在庫物件も過去最多に積み上がった。都心の価格上昇に引っ張られて高額になりすぎたことに加えて、住宅ローン金利の上昇への警戒も重なって需要が鈍っている。不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)によると、3県の中古マンションの平均希望売り出し価格は、季節的な要因を抑えた前年同月比でみると、2023年11月から直近データの24年8月までマイナスが続いている。専有面積70平方メートル換算で、8月は埼玉県が前年同月比3.2%安の2916万円、千葉県が3.4%安の2679万円、神奈川県も0.4%安の3646万円となった。

各県の主要な駅周辺はまだ買い手がつきやすいが、離れると相場地合いは弱い。例えば埼玉県ではJR「大宮駅」周辺の物件が9月末でみると前年比17.5%高だが、隣駅の「さいたま新都心駅」は3.3%安となっている。神奈川県もJR「横浜駅」周辺は12.2%高だが、人気エリアとされているはずの近隣の「桜木町駅」や「関内駅」は、それぞれ2.9%安と2.4%安に落ち込んでいる。東京都心でのマンション相場の高騰を背景に、周辺エリアの所有者も強気の値付けで売りに出したものの、好立地でないと簡単には買い手がつかない状況になっている。さらに新築物件が近くで供給されれば、中古マンションは魅力がかすむ。在庫として市場に滞留する物件は増加傾向だ。東日本不動産流通機構(同・千代田)のまとめによると、8月時点で埼玉県の在庫物件は5658戸、千葉県は4459戸、神奈川県は1万1620戸。3県合計は、前年同月比12%増の2万1737戸。データを公表している02年以降で最多になっている。

東京都心部は資金が豊富にある海外投資家や富裕層が買い手のメインとなる市場である一方、周辺県は一般の実需層が主な購入者になる。建築コストの増大や東京都心の物件の高騰を受けて周辺県では20年以降、値上がりが続いてきた。だが、23年に入って神奈川県で3500万円超、埼玉県や千葉県では3000万円近辺になると、価格上昇の勢いが鈍り、同年11月に3県そろって前年比でマイナスに転じた。24年3月には日銀がマイナス金利を解除。金融機関が住宅ローン金利の引き上げに動くとの見方が強まると、さらに売れ行きが鈍った。一方、東京都心の中古マンションは価格上昇の勢いが止まらない。東京23区の中古マンションの24年8月の平均希望売り出し価格は、専有面積70平米メートル換算で7750万円。前年同月比10.2%と高い上昇率になった。特に人気の都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)は22.3%高の1億2756万円と、多くの人には手の届かない価格になっている。

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