住宅ローン変動型にシフト「フラット35」初の残高減!
2024.09.08
固定金利型住宅ローンの代表格である住宅金融支援機構の「フラット35」の利用が低迷している。2023年度中の申請戸数はピーク時の2割に縮小し、ローン残高も03年度の取り扱い開始以来初めて減少に転じた。金利の低い変動型を選ぶ人が多いためで、日銀がマイナス金利政策を解除した今春以降も減少傾向が続いている。フラット35は住宅購入をしたローン契約者が最長35年間の返済期間中に金利がかわらず、借り入れ時点で金利や返済額が確定するのが特徴だ。
申請戸数は20年度ごろから減少傾向が明確になり、23年度は前年度比4割減の4万件だった。10年度には17万4千件とピークに達していた。取り扱い開始から伸び続けてきた残高は23年度末は18兆5000億円(前年度末比2000億円減)と初めて減少した。低迷の背景にあるのはフラット35の金利水準の高さだ。住宅ローンは短期金利に連動する変動型と、長期金利に連動する固定型に分かれる。日銀が続けてきた低金利政策やネット銀行の参入による競争激化により変動金利は低下が続いてきた。住宅ローン比較診断サイト「モゲチェック」を運営するMFS(東京・千代田)によると、フラット35の35年固定の金利とネット銀行の変動金利の差は、18年1月は0.86%だったが、24年1月には1.53%に拡大した。9月現在はやや縮小したものの、それでも1.39%の差がある。3月には日銀がマイナス金利政策を解除し、7月には追加利上げを決めたが、足元では固定型の需要は高まっていない。4~6月のフラット35の申請戸数は前年同期比で15%減り、7月以降も減少傾向は変わっていない。