住宅ローン返済期間二極化!
2024.08.30
都市部などの物件価格の上昇で月々の返済額を抑えようとする動きが強まっており、期間35年超の割合は2023年度下期で16%と3年前から倍増した。一方、今後の金利上昇を想定し10~20年など比較的短いローンを組む世帯も増加傾向にある。日銀の利上げは住宅ローンの商品選択を変える可能性がある。
23年10月から24年3月までに住宅ローンを借り入れた人を対象に住宅金融支援機構が実施した調査によると、返済期間が「35年超~40年以内」は13.7%、「40年超~50年以内」は2.3%だった。3年前の調査では35年超は8.6%で、ほぼ倍増した。長期化のニーズを受け、最長50年の住宅ローンを提供する金融機関が相次いでいる。23年8月には住信SBIネット銀行、24年3月には楽天銀行が取り扱いを開始した。取り扱いから1年が経過した住信SBIは「35年超を選択する人は順調に増えている」とし、直近では1割程度が35年超で借り入れているという。同行は「50年にして返済負担を大幅に軽減したいというよりも、期間を35年から40年程度に延ばし、返済額を月1万~2万円程度少なくしたいという契約者が多い」という。
地銀も50年の住宅ローンを積極的に扱う。九州・沖縄の地銀では10年代半ばから広がり、沖縄銀行では35年超で組むケースが大半となっているという。東北地方でも50年に延ばす地銀が相次いでいる。一方、短い返済期間を志向する動きもある。20年以内の割合は14%で3年前の10%から上昇志向にある。主流の30年超~35年以内の割合は徐々に縮小傾向にある。日銀による7月末の利上げで、住宅ローンの返済負担は今後増す見込みとなっている。日銀が今後も利上げを進めることになれば、金利負担を和らげるため長期返済に慎重になる動きが出てくることも考えられる。