集成原料、欧州産13%高!
2024.05.25
木造住宅の梁(はり)や柱に使う集成材の原料、ラミナ(引き板)の値上がりが加速している。主流品である欧州産の4~6月期の対日価格は1~3月期に比べ13%高い。欧州の住宅市場が低調ななか現地企業が供給を調整し、生産コストの上昇分の転嫁値上げの要請を強めた。日本の製材会社が販売価格に反映する動きが増す可能性がある。
ラミナは無垢(むく)の薄板。日本ではフィンランド産やスウェーデン産などのラミナを張り合わせて集成材を作る。集成材は強度が高いため、住宅の梁や柱に使われる。欧州産のラミナで主力となる梁向けは、現地の木材会社と日本の製材会社の交渉が1立方メートル当たり300~310ユーロで決着した。中心値は1~3月期比で35ユーロ高い。値上がりは2023年10~12月期から3四半期連続。4~6月期の上昇率は過去2四半期(4~6%高)に比べて大きくなった。10%以上の上昇は木材価格が世界的に高騰したウッドショック時以来だ。フィンランドなどの製材会社が原料の丸太価格や人件費、電気代などの上昇を理由に値上げ圧力を強めてきている。フィンランドで製材用の丸太になる主要な立木の価格は過去2年間で1~4割上昇し、今後も上がる傾向にある。
ラミナを仕入れる日本の製材会社によると、欧州域内は不動産ローン金利の上昇で住宅需要が冷え込み、木材消費が芳しくない。北欧は着工数が昨年の半減レベルのようだ(日本の木材流通会社)との声もある。需要減退を受け、現地の製材会社は供給調整のためにラミナの生産量を落としている。ここ数年の木材相場の高騰時の利益で売り上げの減少を補塡してきたが、インフレによるコスト高が厳しく、収益確保のため一段と値上げを求めている(日本の製材会社)
欧州産ラミナは22年後半から値下がりしていた。現地の製材会社は日本では資材高の影響で住宅需要が減っていることに理解を示し、日本側の値下げ要求を受け入れてきた。23年以降は、景気停滞による採算悪化に歯止めをかけるため値上げ姿勢を打ち出した。停滞が長引くなか、4~6月期の交渉ではそうした姿勢を強めたとみられる。1~3月期は、紅海でイエメンの親イラン武装組織フーシによる商船への攻撃を避けるコンテナ船の迂回で物流費が上がっていたが、4~6月期で調達への影響は限定的とみられる。あらかじめ現地で加工した集成材も値上がりしている。欧州産集成平角の4~6月期の対日価格は1立方メートルあたり450ユーロ程度と、前四半期比30ユーロ(7%)高で決着した。ラミナ同様、現地製材会社が生産コストの上昇分を転嫁した。国内の集成材価格は23年夏から横ばいが続く。国産集成平角(4m×10.5㎝×30㎝)の東京地区での問屋卸価格は現在、1立方メートル当たり7万7500円(中心値)。住宅市場が低迷し、国内価格は上がりにくい地合いだ。