【東京】3年ぶり高水準!オフィス賃料回復
2024.05.11
東京のオフィスビル市況の回復が進んできた。日本経済新聞社がまとめた2024年上期のオフィスビル賃貸料調査によると、既存ビルの賃料指数は3年ぶりの高水準となった。新型コロナウイルス禍からの経済再開と人手不足に伴う人材獲得競争のため、利便性が高いビルに移る動きが増えている。渋谷地区などがけん引した。
調査はオフィス仲介大手から資料(募集ベース)を聞き取り、1985年2月を100として指数化した。東京の既存ビル(築後1年以上のビル)の指数は156.24と1年前より3.65ポイント(2%)高い。21年上期以来の高水準だ。既存ビルは市場の大半を占め、オフィス需要の動向を反映しやすい。コロナ禍前はオフィス需要はタイトだったが、コロナ禍に伴う企業業績の低迷や住宅勤務の普及などで需給は緩んでいた。23年から徐々に回復傾向がみられるようになった。
24年上期の東京の既存ビル賃料のエリア別の集計をみると、最も上昇率が大きかったのは「渋谷~原宿」地区で、1年前より18%高い(中心地ベース)。IT(情報技術)やエンター関連の新興企業がけん引する。渋谷駅周辺では23年、ディスカウント店のドン・キホーテを傘下に持つパン・パシフィック・インターナショナルがオフィスやホテル、商業施設を備えた大型複合ビルを新設。東急不動産も大型ビルを完成させた。底堅い需要に、受け皿となる新築ビルの供給も相次ぎ、オフィスエリアとしての価値が底上げされている。
「霞が関~内幸町」や「西新宿周辺」など大手企業が多い地区でも既存ビルの賃料水準が上昇した。港区内では下落した地区もなおあったが、コロナ禍以降はオフィス需要が落ちていた外資系金融などの動きが復調してきたとの見方もある。