北米産木材、対日2%高
2024.03.31
ツーバイフォー(2×4)住宅の壁などに使う北米産木材の4~6月期の対日価格が1
3月に比べ2%高に決まった。上昇は2四半期ぶり。カナダの山火事の余波で供給量の減少が続く中、現地企業からコスト転換の値上げ圧力が強まった。日本にとっては木造住宅の需要が振るわない状況で住宅価格の押し上げ材料となれば、需要回復が遅れる恐れがある。
ツーバイフォー住宅の壁などに使うカナダ産SPF(トウヒ・マツ・モミ類)は、売り手であるカナダの製材会社と買い手の日本の商社などが四半期ごとに価格交渉する。値上がりは2023年10~12月期以来だ。カナダでは23年、異常気象をうけ西部のブリティッシュコロンビア州などで広大な森林が焼けた。家事は収束したが、栽培できるエリアが限定され、良材の確保が難しくなっている。製材会社はカナダ経済のインフレデ増えた人件費や運送費、電気代などのコストを木材価格に転嫁する動きを強めた。
紅海航路の混乱も影響している。イエメンの親イラン武装組織フーシによる商船への攻撃が活発になり、欧州産木材をアジアに運ぶコンテナ船の多くが紅海経由を避け、喜望峰経由のルートに変えた。欧州産木材は航海日数が延び運賃が上乗せされたことで価格が上昇。日本側の需要の一部が北米材にシフトし、北米のサプライヤーにとって対日交渉が有利になった。7~9月期もカナダ側のサプライヤーは値上げを求めてくる見込みだ。カナダ国内では集合住宅の建設が増えており、木材の荷動きは堅調という。夏の暑さが厳しくなれば山火事発生のリスクもあり、不足感が強まる可能性もある。
カナダ産木材の主な輸出先である米国がカナダ産木材に対する不当廉売(アンチダンピング)関税率を引き上げる見通しも浮上している。日本では住宅に使う木材の需要は冷え込んでいる。国土交通省がまとめた1月の木造住宅の新設着工戸数は前年同月を2.3%下回った。22年4月以降マイナスが続く。
木材価格の上昇は住宅の販売価格の押し上げ材料となる。鉄鋼などの建設資材が上昇するなかでも、木材価格は21年ごろの世界的な木材高騰局面が落ち着いて以降は下落傾向だった。しかし、住宅建築が鈍いなかでここにきて下げ止まりから再び上昇基調になれば、住宅需要の低迷が続く要因になる可能性がある。今後の市場環境によっては、体力が弱い中小住宅メーカーが集約されるとの見方もある。