公示地価も脱デフレ!バブル以来の伸び
2024.03.29
国土交通省は26日、2024年の公示地価を発表した。全用途の全国平均は前年比2.3%上がり、伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さだった。株価や賃金に続き土地にも上昇の波が広がり、日本は脱デフレの転機を迎える。先行きの利上げを懸念し、海外マネーには変調の兆しもある。
全用途は3年連続で上昇した。伸び率が2%を超えるのは1991年の11.3%以来だ。バブル崩壊後、日本の地価は長らくマイナス圏に沈んだ。足元で日経平均株価が史上最高値をつけ、物価や賃上げにも勢いが目立つなかで地価も潮目が変わりつつある。経済を底上げして勢いを維持できるかが今後の焦点となる。
東京は在宅勤務の縮小などでオフィス回帰の動きが鮮明となった。東京23区の商業地は平均7.0%プラスとなり、大型オフィスビルのテナント誘致が好調だ。地方投資も勢いづく。2月に開業した台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場に近い大津町の商業地の一部は33.2%上がった。商業地の上昇率で全国トップだった。半導体企業の日本進出が相次ぎ、国内の関連投資額は29年までに9兆円規模に上る見通し。新たな雇用がうまれると地域で住宅需要や消費が活発になり、住宅地や商業地の価格も上向く好循環につながる。
当面の懸念材料は日銀のマイナス金利解除が及ぼす影響だ。海外投資家は低金利下の日本で借り入れて不動産に投資する利点が大きかった。日本も本格的な利上げに移れば投資環境は変わる。投資先として不動産の魅力が薄れるリスクもある。