日銀、17年ぶり利上げ
2024.03.18
2024年の賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高水準となり、2%の物価目標を持続的・安定的に達成できる環境が整った。日銀が政策金利を引き上げるのは2007年2月以来17年ぶり。
マイナス金利政策の解除に向けて15日、日銀内で調整を始めた。現在の短期の政策金利はマイナス0.1%。これを0.1ポイント以上、引き上げて短期金利を0~0.1%に誘導する案が有力だ。2016年2月に開始したマイナス金利政策はこれでする。
連合が15日発表した2024年の春季労使交渉の第一回回答の集計で賃上げ率は平均5.28%となり、焦点の中小企業の賃上げ率も4.42%と32年ぶりの高い水準だった。ベースアップも3.70%(ベアと定期昇給を明確に区別できる654組合が対象)に達し、賃金の持続的上昇で日銀が目指す2%の物価目標を安定的に達成できる見通しがたった。
日銀はマイナス金利政策の解除とあわせて大規模緩和の柱となってきた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃する方針だ。現在は長期金利の上限のめどを1%としている。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の新規買い入れも終える見通しだ。23年末以降、日銀はマイナス金利の解除に向けた地ならしを進めてきた。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など世界の中銀はインフレ抑制へ急ピッチで利上げしてきた。2007年2月の利上げを最後に一貫して金融緩和を続けてきた日銀がマイナス金利を解除すれば、企業や家計にとどまらず世界の資金の流れにも大きな影響を与えることになる。