マンション建築費最高!
2024.01.19
マンションやオフィスビルの建築コストが膨らんでいる。民間調査機関の建設物価調査会(東京・中央)によると、東京の2023年12月の工事原価は前年同月を5%~6%上回り、それぞれの過去最高を更新した。資材高に加え、人手不足による人件費の上昇が響く。新築マンション価格やオフィス賃料を押し上げる可能性がある。
15日発表した23年12月の建築費指数(速報値、15年=100)は、マンション(鉄筋コンクリート造)が127.7と前年同月を5.6%上回り、5ヶ月連続で過去最高を更新。オフィスビル(鉄骨造)も5.1%高い129.7と2ヶ月連続で最高値を更新した。前月比でもマンションが1.0%、オフィスビルが0.9%上昇した。
21年以降、建築指数は上昇傾向が続く。新型コロナウイルス禍による原料の供給制約に経済回復が重なり、22年はウクライナ危機で資源価格の上昇に拍車がかかった。23年も原価高の余波が建設資材の一部で続いた。
現職の人手不足もコストを押し上げた。建物の基礎を造るのに必要な鉄筋工事やコンクリート型枠工事も、職人を確保するために賃金を引き上げる必要があった。都心部再開発などの大規模案件は工期を重視し、費用がかさんでも建設が進んだ。一方、中小規模のビルやマンションは資材高や人手不足が響き、工事の遅れや計画の見直しが相次ぐ。
今後は資材高に代わって労働コストが建築コストを押し上げるとみられている。建設業界でも24年4月から時間外労働に上限規制がかけられる。人手不足が深刻さを増すことも予想される。
マンションやオフィスビルの開発は収益の確保がますます難しくなる。マンション価格は東京都心で海外富裕層や不動産投資家の旺盛な買いを背景に、すでに高騰している。建築費の上昇が重なることで高額化が一段と進みかねない。