「出生率1.8%」全国の5%!
2023.12.09
政府が2015年から少子化対策で重視する「希望出生率1.8」を22年は92市町村が実現したことがわかった。全市区町村の5%で、15年と比べると半減している。日本全体で出生率が下げ止まらないなか、高水準を保ち続ける自治体は立地企業との連携や宅地開発、教育拡充などにより子育て世帯が暮らしやすい環境を整えている。
日本の出生率は16年から低下が続く。新型コロナウイルス禍に伴う婚姻減なども響いて22年は1.26と05年と並び過去最低だった。国は各市町村の出生率を5年ごとの国勢調査の公表年を挟む5年平均で出す。東京都は都内の市区町村の毎年の出生率を住民基本台帳から独自に示す。この都の手法を用いて日本経済新聞社が1月時点の人口と22年の出生数から全市区町村の最新の出生率を割り出した。
出生率は総じて西日本が高い。国が毎年公表する都道府県別では22年に沖縄県(1.70)、宮崎県(1.63)、が上位だった。市区町村でも希望出生率1.8以上を15年から8年続ける10市町村は鹿児島県徳之島町などすべて九州・沖縄。東日本では山梨県忍野村(1.92)、北海道共和町(2.05)が7回達成した。
奄美群島の徳之島にある徳之島町は出生率1.8以上が8年続く市町村のうち22年の出生率が最も高い。島内の天城町も8年連続。「子宝島」と呼ばれる島で唯一の空港は12年に愛称が「徳之島子宝空港」となった。島ぐるみで子育てを支える気風が根付く。福岡県粕屋町も希望出生率を8年連続で実現した。鉄道駅が6つあり福岡市への好アクセスから成長してきた。町は駅前などの区画整理で住宅地として利便性を高め、保育施設も拡充してきた。